「ハ…じゃなくて、入江先生(イリエ)」

ハゲ、ハゲと呼んでいた(私だけ)先生こと、入江先生。

さっき、1時間も人を使った、人使いの荒い48歳・既婚。

これでももう20歳の娘がいるらしい…


「何に悩んでるか知らんが、毎日楽しくやってたほうが、いいことあるぞ?」


「……先生は悩んでますか?」


「先生かー?先生はいつも悩んでるぞ?」

「いつも?」


「そうだ。ま、先生も色々あるってことだけどな?」


「…そうですか」


「そうだ。

毎日を楽しく過ごさないと、もったいなぞ?」


「はぁ…」


「信じてないな?けどな、一回しかない高校生活なんて、悩んでたらあっという間に終わるんだからな?」


意味不明な言葉を残し先生はどこかへ行った。

先生の後ろ姿に夕日が当たって…


「キレイ…」

キラリと光るハゲ…じゃなく、頭を見て、少し気が紛れた。