「何でもっ…ない…」 「んなら、いいけど…? やっぱ何かあったか?」 "ほら、顔が赤い…" ソッと伸びた先生の手を逃げるかのように、教室を出た。 ───…どうしてだろう。 愛して病まない彼氏がいるのに。 ───…どうしてだろう。 10歳も離れた先生なのに。 ───…何だろう。 この、気持ちは─… ヒンヤリと風が通る廊下を歩き、火照った顔を冷やすように、ゆっくりと歩いた。 「…バカだっ」 そう、小さく呟いて。