「うんっ、」
「んじゃ、こっち♪」
リビングに連れて行かれ、いつもは空いているであろう4つ目の席に着く。
他人の家だけど、他人だけど、すごくすごく居心地が良かった。
「兄ちゃん!!それ、俺のー!!」
「お前はそれ食っとけよ!」
「兄ちゃん意地悪ー!!」
「啓太、これあげる♪」
「マキ…!!大好きー!!」
「こら!啓太のはこれだろ!?」
「マキのもらうもんっ!!」
「マキのは俺のだっ!!」
「兄ちゃんのケチー!!もう俺のだもんね!!」
「兄ちゃんに向かって何言ってんだっ!!」
「わーっ!兄ちゃんが怒ったー」
ご飯のおかず1つでここまで言い争うことが出来て。
こんなにも賑やかで楽しいご飯はいつぶりだろう…
「…うるさくて悪いねぇ」
和也と啓太の言い合いはそっちのけでお父さんが声をかけてくれた。
「いえ…すごく、楽しいです★」
素直に言葉が出た。
これが本当の気持ちなんだろう。
「そうか…
私たちも楽しいよ。遊びに来てくれてありがとう」
「こちらこそ…、ありがとうございます」
「これからもよろしくお願いするよ…」
「…はいっ」
この時の返事は、本物だったよ…
本物、だったんだよ―…


