カバンから携帯を取り出し"家族"と言うグループから家の電話番号を引き出す。
…家族、で登録しててもいいよね？
初めはそんな気持ちだった。
けど、今は"家族"だと思える。
「もしもし？」
『マキちゃん？何時に帰ってくる？』
「…今日ね、彼氏の家でご飯食べてくから遅くなる…」
『あっらー♪彼氏？また紹介してね？あんまり遅くならないようにねっ』
優しそうな元気なお義母さんの声。
あまり本人を目の前にして"お義母さん"なんて呼ばないけど、今無性に"お母さん"と呼びたい。
「…分かったっ、お母さん…」
『マキちゃん…♪やっと呼んでくれたわね…』
「…///なるべっく早く帰るからっ」
『分かったわ♪楽しんでらっしゃい』
そう聞くと電源をおとした。
…私がお母さん、って呼んだだけであんなに嬉しそうな声だった。
それで喜んでもらえるなら、もう少し早く呼べば良かった。
気付くの、遅かったよね…
でも、今からでも十分間に合うよね…？
「マーキっ、電話終わった？」
