「じゃあ話そうか… マキを酒井に渡す、数年前から、うちには膨大な借金があった」 「お父さん!」 話し出すお父さんにお母さんは声を張り上げた。 「もう、話しても大丈夫だろう」 「だけど…」 「もう、二人とも聞き分けるくらい出来るだろう。 続けるぞ」 難しい顔をしたお母さんをよそに、お父さんは話し始めた。 「それは、どんなに頑張っても返せるような借金ではなかった」 昔の話。 今から、10年以上前の話だった。