「あ、いたんだ…母さん」


出てきた女性に向かい、信也が呟いた。


私は身動きが取れず、硬直していた。


…この人がお母さん?
私の、お母さん…?


10年振りに会うお母さんは、10年前の面影がなく、以前より綺麗になっていた。



「…そろそろ離してやれよ、」


「あ、そうだったわね!

いきなり、ごめんなさい?あまりにもマキに似ていたから…」


「お母さん、それ姉ちゃんだよ…

マキだよ」


信也が横で呆気に取られているお母さんに説明をする。



「…本当にマキなの?」



「だから、姉ちゃんだってば」


私を離して、顔をマジマジと見る。



「夢みたい…また、会えるなんて…」