「あ、酒井!」
図書室に向かう途中で、声をかけられた。
「何ですか?内藤先生、」
内藤先生に。
「教室でいくら待っても来ないから、探しに来たんだ。
何を悠長に帰ろうとしてんだ?今日もあるぞ?」
「えーっ?!初耳ですよ!?」
「俺はお前が帰ろうとしてることにビックリだ」
「今日は帰らせて下さい!」
「…理由を述べよ」
「…弟と、父に会います」
「…それは、どういうことだ?」
「…向き合う、決心がついたので」
「……そうか。なら今日は特別だ。
ただし!明日はあるからな?」
「ありがとうございます!」
先生にお礼を言うと、また図書室へと向かった。
…そう。
和也に、今の決心を伝えるために─…


