先生と生徒



先生の言葉がグサグサと心に突き刺さる。


「…どんな親でも子どもは可愛いもんだ」


最後にそう付け足して先生は笑った。


「でも…借金の形に私は酒井に渡された。…お金の方が大事だったからじゃないんですか…?」



「それに関しても先生の意見なら言うぞ?」


「はい…」



「もし、酒井を渡さなかったらどうなってた?

会社は回らないし、一家の生活も危ない。酒井をお金として出すのもおかしい話だが、そうでもしないと皆が笑って暮らせないからじゃないか?

もし、今も中西にいたら、一家で路頭に迷ってたかも知れないしな」


「……それでも、私は家族といたかったです…」



「親はな、子どもの幸せを願うんだ。だから酒井を幸せにしてくれるだろう相手に酒井を渡した…そうじゃないか?

憶測でしか過ぎないけどな」


「……そう、なんでしょうか…」



「それを確かめたいんじゃないのか?酒井は」



「確かめたいですけど…知りたくないんです」



「話が噛み合ってないぞ?」