3枚目のプリントの途中。
先生の薬指に光る指輪について聞いてみた。


「あぁ、一応こう見えて29だからね?

結婚もしてるし、今年4歳の子どももいるけど…」


「ええ!?見えない…」

「やっぱ、その反応嬉しいなー

って、話に任せて手を止めない!」


「はいっ!!」


「酒井も素敵な彼氏がいるじゃないか?」

そういえば先生にアドバイス?受けたんだっけ?

「あ、そうです…」


「お前もいい家庭持てよ?って何生徒に言ってんだか。

って!また手止まってるぞー」


「はーいっ」



この時はまだ自分がこんな風に何も見えなくて、何も考えられないような、そんな恋をするなんて考えもしなくて。

ただ、この時は、先生は先生で、私は生徒でしかないんだと思っていた。