「蓮のこと、嫌いじゃない」


「………じゃあ、」


「で、でもね!好きかは、分かんない………」


「………」




黙っちゃった。

でも、そういうの、よくわからないから。
ごめん、と何故か謝って、背中をポンポン叩いた。


なんで、謝って、慰めたんだろう?
蓮は何を求めてる?


頭の隅っこでは疑問を抱きながらも、言葉を続ける。



「よく、分かんないけど、今………蓮を愛しいとは思うよ」


「え?」


「なんか蓮、可愛いし」


「………」



本心を言ったのだが、蓮は無反応だ。
どうしよう。これ以上言うことは何も………



「可愛い、ですか」




へ?


いつもより少し低い声が耳を掠める。
な、何?蓮、怒ってる?


なんで!?


「蓮、どうs「真央さん」


ひっ!



いつの間にか、魔王スマイルを浮かべた蓮の顔が間近に!

こ、わ、い、よ!



「可愛い、なんて、他の男の前で言わない方がいいですよ」


「は、はい?」


「というか禁止で」


「ええっ!?なんで!?」




意味分からん!

さっきの可愛い蓮、戻ってこーい!!



「僕が可愛いですって?」


「ひ、」


「そんなこと、言えないようにしてあげましょうか(ニッコリ)」



悲鳴すらまともにあげられない。
この至近距離で魔王スマイルは心臓に悪い。寿命縮まるわ!………あ、恐怖ね。恐怖のせいだから。


思わず、下を向いてギュッと目をつむった。







「………ってことになるんで、言わないでくださいね」




………え?



あれ?


「蓮?」


なにもしてこないなんて。
びっくりして目を開けば、そこには飄々とした顔の蓮が。


ほっ。
たまにはこんなこともあるのね。


命拾いした、と息を吐いた。