「300円頂いたのでぇ、65円とぉ、レシートのお返しになりまぁす。」
 
バイトもジャラジャラと音を立てて俺にお釣りを渡した。

50円玉1枚と、10円玉1枚。

5円足んねーじゃん。
 
俺はバイトを見る。
 
バイトは自分の爪を見てる。
 
俺より随分と飾られ、盛られた爪。
 
店長、こいつ雇ってていいんですか。
 
彼女みたいにバイトに言い出す勇気がなくて、肩を落としながら外にでる。
 
俺も5円に未練タラタラじゃぁん、とか。
 
情けなっ。
 
外に出たら、出口のそばでツナマヨのおっちゃんがツナマヨをほおばってた。
 
まだ、具に達してないのか、ほんの少しだけ眉をひそめてる。
 
世知辛ぇなぁ、なんて思ったりして。
 
歩きながら、梅おにぎりを開けて、破れてしまった海苔の端っこが、なんとも言えず虚しくて、ため息をついた。
 
冬だから、息は白くなって吐き出されて、それがまるで目に見える幸せなような気がして、あわてて吸い戻す。
 
自分の行動を振り返って。
 
我ながら滑稽だなぁと、少し笑いながら帰路に着いた。