俺の出した結論。

バンド。

クラシックは手が出し難かったから、バンド。

それに、バンドなら今風だし、俺の性のも合ってる気がする。

だから、どうかなって。

「は?」

まぁ、そりゃそうなりますな。

「吉田くん、もう部活決めた?」

「いや、まだだけど・・・。オーケストラ部に入ろうかと・・・」

「お願い!俺とバンドやろうよ!軽音部創立してさぁ。な、ほら、たまには違う雰囲気の曲も弾きたくなるじゃん?」

手を合わせて声を張る。

吉田くんは、また、は?って顔してて。

「俺、吉田くんとバンドやりたいんだ!」

吉田くんの音楽に惹かれたから。

吉田くんとなら、自分を上手く表現出来ると思うんだ。

片づけを終えた吉田くんは、こっちに向き直って、俺をじっと見つめる。

頭を下げているから、俺の頭頂部に視線が突き刺さる。

俺が見えてるのは、向き直って軽く開かれた、足のみ。

「で、何。やるとしたら俺は何をすればいいわけ?」

思わぬ返答に、勢いよく頭を上げる。

吉田くんの挑戦的な視線と俺の視線が交錯する。

頭がテンパりながらも、脳裡によぎったのは最近テレビで見た有名な洋楽バンドで。

「お、俺がベースで、吉田くんがギター!」

ちょっと声が裏返ってしまったが、必死に応答すると、吉田くんは少しだけ考え込んでから

「いいよ。」

って。

思わぬ場所で、あっさりと俺らのバンドは結成した。

後日学校で、軽音部の設立届を出すと、これまたあっさりと許可が下りて

ギターとベースを手に取って、いざやるかと、いきこんだ。

だけど、全く弾き方がわからないことに気付いて、吉田くんを見ると、彼も手に取ったまま止まっていて。

俺がどうやんのって聞いたら、お前知らずに誘ったのかよって馬鹿にされた。

吉田くんもギターの弾き方分からないのにどうして引き受けてくれたんだって疑問に思って聞くと、ピアノを弾く仕草をしながら、吉田くんは言った。




「たまには、違う雰囲気の曲も弾きたくなるだろ?」