広大な砂漠。意識なき内に埋もれてしまった下半身。右手には触るとじんわりと生暖かい立木。辺りを見渡しても他に有るものは、黄色い砂をぐねぐねとうねらせる蜃気楼だけである。

360度果てしない異空間を見ている様は、まるで体全体を宇宙に放り出されたようであり、それに加えて温度や湿度が排除されているこの空間は、更にリアリティを増して宇宙となる。そして追い打ちをかけられるように待っているのは永遠とも感じられる静寂と孤独。
私はあまりの恐ろしさに心の真ん中にぽっかりと空洞ができ、放心状態寸前にまで陥ってしまった。
その後しばらく眼を見開いたまま動かずに固まり、思考回路は完全に狂い始めていく。しかし脳は懸命に助けを求め、胸を威圧する。胸の痛みは数秒ごとに増していき、そこで私は正気を取り戻した。だが、この状況下においてどうアイディアを練り、どう行動したところでこの世界の前ではあまりにもそれは虚しいことを知る。そして私は絶対的な絶望を感じ、いてもたってもいられずただただ叫ぶしかなかった。いや、その選択肢しか残されていなかったのだ

「俺をここから出してくれ!」