夢。
私はきっと夢に喰われてしまうのだろうと腹を括っている。このような一般の人々には一切耳を傾けてもらえない事を考え始めたのは、ちょうど半年前の夏頃であった。

夢は己の身分、価値全てを無視し、どのような人にとっても平等でなくてはいけないものである。見るものに夢を与えるから夢であり、それはまた願望でもある。将来の「夢」というように用いられるのもこの由来からきているのであろう。




私がそれに気付いたのは、事があまりにも異常であったからだ。どこからが正常、異常と分けるのかは各々の判断によると思うが私のケースは満場一致で異常と言われることは間違いない。
その夢を見初めた頃は薄々と、ある光景が見える程度であった。その光景は茶色い何か、というそんな漠然なものとしか捉えることはできなかったし、週に一度見るかどうかといったところであったため、あまり気にはとめてはいなかった。