「辞めたら、付き合ってくれる…の?」

「奈央が俺のこと
本気で好きなら、付き合ってやる。」


上から目線の言葉。
でも、この言葉が
どれだけ欲しかったか分からない。

本当に、どれだけ嬉しかったか…


「…本当に?」

「約束してもいいけど?」

ニッコリ笑った顔が、
すごく愛しくて。
本当に大好きになった。



さっきの出来事が、
全部嘘のようにアタシと尚人は
いつもの関係に戻った。

アタシは今まで使ってた携帯を
解約して、新しい携帯を持ち
マサさんとか、今まで
誘って相手してくれてた人との連絡を
自分から切った。



…もうしない。


そう思ったとき、何故か
ふと、寂しくなったけど
尚人のことを想うと自然に
胸が温かくなった。


駅近くに買い物に行くと、
誘ってくるオジサンが何人も居る。


「3万でどう?」とか
「欲しい物買ってあげるよ」とか。



何回か、「いいよ」なんて
いつものノリで言いそうになったけど
我慢した。


…我慢すれば尚人と付き合える。


アタシは必ず自分に
そう言い聞かせてた。