捨てるわけにもいかず、袖に入れた。

「アリスさん…皆さんいいですか」

「決心ならとっくについてるわ」

「敵討ちは好きじゃないけど…行かんとならんき」

「大丈夫…行こう、リアル」

たった一晩使った部屋を後にする。

「リアル…お別れしなくていいの?」

サニーがヒソヒソとリアルに言った。

「…僕がここにずっと居座る訳ないって知ってますから」

瞳を伏せてリアルは呟いた。

「…まじうざい」

「え?」

隣で聞こえていたのかログが耳を傾けた。

「リア充実爆発しろ」

「テロはいかんきに」

コイツは放っておこう…。

「出発しますよ」

門を出るとログは頭を下げて

「お世話になりました」と
隣でサニーも頭を下げていた。

たった半日いたのに。

この場から離れてしまう。

「何だか…ずっといたみたいだった」

「そんなに素敵だったかい?」

チャッ…ジャックが出てきた。

「ジャック!」

ガバッとサニーは抱きついた。

「サニーも行くのか…「蟲」は平気か?」

ジャックは優しくサニーの頭を撫でた。

「平気。弾ぶっぱなしてやるんだから。」

「こりゃ、心強いぜよ」

「え…?」

ジャックとサニーが恋人?

ジャック明らかにおっさんじゃん。

「アリスさんは知らないんですか」

「何をよ」

「ジャックは変装してるぜよ」

「「蟲」を研究している人は大抵そうしています」

「どうして?」

「「蟲」の親玉である方から殺害されないよう…」

「それ…人間なの?」

コクリと頷くログ。

人が「蟲」を操り

人を襲ってるの…?

「人が…間接的に人を」

崩れ落ちそうになる私をログが支えてくれた。

「本当に胸ないきに…」