学力テストを受けて、成績で問題がなかったため、高校一年生から始めることになった。

私にとってあの、無限にも思えた長い一日の中で学んだ知識がこんなとこで役立つとは思わなかった。

何億回もの繰り返された時が今動きだしている。

私は空を見上げた。

━━私も空菜みたいに笑うことができるかな?



…ううん。



私、空菜みたいに皆を支えられるように頑張るね

小さな決意とともに私は家の門を開いて道路に出た。

「思生ちゃんおはよう。今日はいい天気だね」

阪井のおじいさんが落ち葉の掃除をしている手を止めて、私に話し掛けてきた。

「おはようございます!今日は私の高校デビューなんです」

「そうかい。頑張っておいで」

微笑む阪井さんに手を振り、私は歩きだす。



えーと、学校はどっちの方向だっけ?

キョロキョロと辺りを見る私の手を誰かがつかんだ。

「思生こっち!早くしないと遅刻するよ?」

楽しそうに無邪気に笑う彼女。

「空菜っち、ちょっと待ってよ!」

手を引かれ私と空菜は走りだす。

あのあと、空菜は無事に手術を終えて拒絶反応を起こすこともなく、私たち二人は退院できた。