「ハッピーバースデー!!」

クラッカーの大きな音と火薬の匂いがした。

「…ありがとう。加奈さん。」

私の精一杯の言葉も苦笑いでしか言えなかった。

「まだ見せたいものがあるの!」

今日はやけにねばるなぁ…

加奈さんはいつも私を笑わそうと必死になる。

でも、大体は『ありがとう』って言えば満足してくれるのに。

そんなことを考えているうちに加奈さんは私のベットのカーテンに手を伸ばした。

あれ?

確か私が出た時は開けていたはずなのに、今はぴったり閉まっている。

…まさか

「ハッピーバースデー!!空菜」

「お母さん!お父さんも!?」

私は幼い子供のように両親に駆け寄った。

「こっそり来てもらってたの。
ほら!ちゃんとケーキも買ってあるよ」

加奈さんは幸せそうに笑う。

それはたぶん私が今までにないくらいに笑っていたからだろう。

加奈さんは17本のロウソクに火をつける。

私の好きなチョコレートケーキ。

それも私のお気に入りのお店の。

そして、みんなが私のために誕生日の歌を歌う。

楽しくて、楽しくて、私はいっぱい笑った。

とても幸せな気持ちだった。


「よかったね。空菜」