シイナは、私の病室の前でとまった。

「シイナ?ここ私の病室だよ早く次にいこうよ」

「次はここだよ」

シイナ何言ってるの?

この病室は私の場所だから他に誰もいないのに

「空菜さん?戻ってきたのね」

加奈さんの声だ。

もしかして、次って加奈さん?

「すみません加奈さん。ちょっと散歩してたら戻るの遅くなっちゃった。」

シイナは、イタズラをしたあとの子供みたいに困ったような顔で笑った。

「いいのよ。それより見せたいものがあるの早く来て」

加奈さんは病室の奥から手だけを出して、手招きをした。

「シイナ、次って加奈さん?」

堪え切れなくなった私はシイナにたずねた。

「違うよ。次はね。」

シイナは私の手をつかんで自分の胸に押しつけた。

━━━どぷん━━━

溶け合うことのなかった私とシイナが入れ替わるように体に私が入った。

「空菜。早くいきなよ」

「シイナ!?」

私は意味がわからずシイナの声が聞こえたほうを見た。

でもシイナの姿は見えない。

「空菜さーん。早く〜」

加奈さんの声が私を急かす。

「ほらっ!」

再び聞こえたシイナの声。

なにかに背中を押されて、私は病室の奥に入り込む。