そして私はドアのノブを
握りドアを開けて

ほの暗い廊下の方へ
移動して行ったのです。

その時はそれらの体験は
私にとって非常な驚きであった
ということを除けば、

私自身の心は極めて平静であり、

食欲などの肉体に起因する
欲というものを感ずることは全く無く、

そればかりか私が何か
ピンと張った透明で静寂な何物かで

作られている空間の中に
いるような感じさえ

抱いていたのを覚えています。