少し悲しげに見えたのは
気のせいだろうか。

「たぶん、
あなたが思ってる通りです。
僕には何も見えていません」

「………」

「光の変化なら
ある程度分かりますが」

ふと、疑問がわいた。

「なんで私の手首の位置が
わかったの?」

この少年に対しては
話すことにも
嫌悪を感じない。

だから、
まっすぐに聞いてみた。

彼は嫌な顔もせずに
私の質問に答えてくれた。

「気配……ですかね」

「……気配?」

「はい。
生きてるものには
生命力みたいなものがあるんです。
僕は目が見えないぶん、
そういったものが感じられるんです」

「……」

「はは、
やっぱり信じられませんよね?」