「ゆっくり、息を吐いて」

私は、
言われるがままになる。

「そう、今度はゆっくり吸って」

抗えない。

息が少しずつ整っていく。

「どうですか?落ち着きました?」

コクリとうなずく。

「よかった」

少年は満面の笑みを浮かべる。

でも、私の視線は
彼の目から離れない。

じっとみられてるのが
気配で分かったのか、
彼は私に尋ねた。

「この目が、気になりますか?」

私は、
またうなずく。

しかし、彼の顔は
不快を表すことはなく、
あはは、と苦笑した。