(目…が…)

誰か
―ぱっと見私より年下の少年だ―
の目は、白く濁り、
いまいち焦点があっていない。

おそらく、
見えていない。

見えていない目に、
見つめられている。

奇妙な感覚だった。

それなのに
目が離せない。

それは
底のない沼に入っていくような。


それでいて
不快感は感じられなかった。

抜け出せない。

抜け出したくない。

そう感じさせる
何かがその瞳には
あった。




未知の感覚だった。