「寒っ!」

店の前で凉花を待っている

凉花が[ミラーノ]で働いているとは聞いてたけど、まさか接客されるとは思わなかった

時刻は午後9時

「もうそろそろだろ」

従業員出入口を凝視すると、紙袋を手にした女性が出てきた

「こんな風に待たれても困るし、これも要らない」

そう言って袋を突き出す

「すずにあげたかった。俺の気持ちを伝えたえるために」

凉花は目を伏せ言った

「気持ちって何よ!私が好きなバームクーヘン渡すの?なんのため?訳わかんない!」

袋を突き出した左手を俺は掴み…

「10年前のチョコ欲しかったし、6年前に会えたのも嬉しかった。」

左手を掴まれ、警戒する凉花に柔らかく話しかけた

「じゃぁ、なんで受け取らなかったの?なんで、嫌がらせみたいに…」

「すずのことを好きだと言う輩が多かった」