ヘタレ彼氏はイイ男

“いっくん”


可愛らしい呼び方だなって最初は思ってた。


今は、そう思った自分の頭をバットでぶん殴りたいぐらいだ。




「いいよ、もうそんなぶりっこしないで」


「ど、どういうこと?」



焦りだしたような声に、俺は口元に笑みを浮かべた。



「全部話は聞いた。他校に彼氏が3人もいること。俺の外見が気に入り、近づいたこと。それから真心と別れさせようと考えてたことも」



俺は表情を強張らせる汐見を無言で睨み付けた。


いや、でも俺が彼女に怒りをぶつけても仕方ない。


真心と離れた寂しさ焦りという隙を見つけられ、そこに付け込まれた俺が一番悪いんだ。


真心が離れていったのは、真心を強く信じることが出来なかった俺の弱さのせいだ。



「君の思い通りに、俺は真心を失ったよ」


「えっ?」


「君の計画では俺は君と付き合うことになるのかな?」