ヘタレ彼氏はイイ男

先輩との話を終え、教室に向かうと



「いっくん♪」



そう呼んでパタパタ走ってくる女がいた。


汐見実緒。


友達だと思って、今までは接していた。


でも、もうそれはできない。



「何の用?」


「えっ?」



俺の変わりぶりに、彼女は驚いた表情になった。



俺自身も驚いた。



誰かにこんなにも冷たく話したことがなかったから───────




「用がないなら、極力話しかけないで」



それだけ言うと、教室から出る。



屋上へ向かうと、案の定彼女もついてきた。



屋上のほうが、話すには丁度いいだろう。




「いっくん。どうしたの?どうして、そんな冷たい態度をとるの?」