「あっぶねぇ!!」
飛んできたボールは、あたしの目の前でキャッチされた。
そしてそれはそのまま試合中の選手に返された。
彼を見て、選手たちは試合どころではなくなったようだけど。
「サインあげてくれば?一飛選手」
「今日は勘弁。何よりも大事なプライベートだから」
そう言って手を繋いで歩き出した。
一度は別れたあたし達だけど、もう一度付き合い始めて、今ではこの上ない程に幸せ。
最愛の人がいつも笑顔で隣にいる。
それだけであたしはいつも満たされる。
中学の時に恋した男の子はヘタレで弱弱しくて女の子みたいだった。
でも今は、夢を叶えた頼もしい大きな背中。
変わらないのは坊主頭と真っ黒な顔。
それから・・・・・・・
「一飛」
「ん?」
「大好き!」
この笑顔──────────
「俺も、真心が大好きだ!!」
Fin