ヘタレ彼氏はイイ男

その時、強く風が吹いて彼の帽子が飛んで行った。



見えた顔は真っ黒で、土だらけ。



来る前に何してきたんだって言いたくなるくらいだった。



おまけに、頬には縦にいくつも線がついていた。




「ったく、男のくせに・・・」


「っく・・・・ごめん」


「優勝おめでとう。良かったじゃん。あたしがいなくても、もう平気でしょ?」


そう言うと、彼は怒ったような表情になった。



「何言ってんだよ!真心がいないせいで、俺がどれだけ、俺が・・・」


「また人のせいにする」


「・・・・・ごめん」




さっきから謝ってばかり。一体あたしに何を言いに来たのよ。

しかも茉乃まで巻き込んで。


いつの間にか繋がってた二人。気が付かなかった。



「俺、頑張ったんだ。夢を叶えるために約束を守るために、それから・・・真心にもう一度会えるように」


「うん」


「だから、だからさ」


「うん」


「俺と、もう一度付き合ってください!!!」


「一飛!!」



もうそのあとはお互い言葉にならなくて、二人で強く抱きしめあった。


今までの距離を埋めるように、きつく、きつく・・・