ヘタレ彼氏はイイ男

あたしは持ってきたバッグを肩にかけ、ソファーから立ち上がった。



「きゃっ!?」



突然強く腕を引っ張られて、あたしはバランスを崩した。


床に倒れると思ったら、一飛に抱きしめられていた。



「離して」


「・・・やだ」


「離しなさい」


「嫌だ!!」




腰に巻きつく腕の力が強まった。

肩には一飛の頭。


耳には、一飛からの嗚咽が聞こえてくる。



「ごめん。全部俺が悪かった。真心のせいにして・・・野球のせいにまでして」


「そうね」


「俺これから頑張るから、また1から頑張るから、離れていかないで・・・」


「無理」



腕から逃れようとしても、一飛は離してくれない。


どんなに力を入れても離してくれない。



「一飛、子供みたいなことしないで」


「ごめん。ごめん。もう試すようなこともしない。だから」


「あたしはヘタレには興味ない。今の一飛はどう見たってヘタレでしょ?」


「頑張って、ヘタレじゃなくなるから、だから別れないで!」


「しつこい!!」



精一杯の力を入れると、ようやく一飛も離してくれた。