1日の授業時間や部活、テストそして先輩たちとの上下関係。


小学校とはガラリと変わった生活に戸惑ったけど、一歩ずつ大人に近づく感覚が、何となくあたしをワクワクさせた。



そんな、中学の初めてを経験し1年が過ぎ、2年生に進級する頃にあたしは、ある野球部員と出会った。







「「「お疲れ様でした!!」」」



玄関で友達を待っていると、グラウンドから大きな声が聞こえた。



「野球部か・・・」



あたしの弟も小学校の野球少年団に所属し、キャッチャーをしている。


だから、他の女子に比べればルールも知っているし、野球観戦も割と好きだった。



「お待たせ」


「ううん。行こ?」


「うん」



友達の茉乃(マツノ)と一緒に駐輪場に向かった。



「ねぇ茉」


「ん?」


「うちのクラスに野球部何人かいたよね?」


「うん確か、4人くらいいたはずだよ?・・・でもなんで?」


「ううん。さっき待ってる時に野球部見てて、ちょっと考えただけ」


「そっか、真心野球好きだもんね。あ、そう言えば4人の中でも特に下手な奴が一人いて、監督が手を焼いてるって誰か言ってたなぁ」