ヘタレ彼氏はイイ男

本当は悲しかった。



何だかあたしばっかり、楽しみにしてるみたいで・・・


そんなあたしに一飛は



「俺は、真心とだったらどこに行っても楽しいよ」



そう言って抱きしめてきた。



「ちょ、ちょっとここ街中だから!」



どうしてだろう。



目の前の一飛は、あたしが知ってる一飛じゃないみたい。



普段は人前でこんなことしないし。



言葉だって、こんなこと言われたことなかった。



いつだって少し顔を赤くして必死に言葉を探していた。



そして、そんな一飛だからあたしは、彼の言葉一つ一つに嬉しくなって、素直に受け入れられたんだ。




でも、今の一飛の言葉は違う。



「今日のワンピース可愛いじゃん」


「いつも思うけど、真心の髪ってなんでそんなに綺麗なわけ?さわり心地もいいしさ」


「真心が綺麗すぎて俺めっちゃドキドキする」



どうしたの?一飛。



あたしの知ってる一飛じゃないみたいだよ。



こんなに饒舌な一飛は見たことがない。



確かに野球とか学校生活とか他愛無い話はたくさんしてくれてた。



でも、あたしを褒めるとかそういうことは全然ダメだったのに・・・。



だから、あたしもときどき言ってくれる褒め言葉がすごく嬉しかったのに・・・・・