ヘタレ彼氏はイイ男

普段の一飛からは考えられない行動だった。


だけど、素直に嬉しかった。



「一飛・・・・・。あたしも、大好き」



いつもお互いに気恥ずかしくて、中々素直に気持ちを言い合えてなかったから、言葉で言われることがこんなに嬉しいって、改めて気付いた。




───決めた。



これからは素直に自分の気持ちを言おう。



でも、やっぱり意地っ張りなあたし。


だから、記念日だけ素直になるって自分に誓った。



「来月は、一飛の行きたいところに行こうね。だから、行きたいところ、考えておいて?」


「うん、ありがとう。考えておくよ」



そう言うと、一飛は体を離して、優しくあたしを見つめてくれた。



あぁ、あたしはすごくいい出会いをしたんだ、すごくイイ男を見つけたんだって、思った。



その日、あたし達は久しぶりの何度目かのキスをした。





大好き、一飛。
ずっと一飛だけを想ってる。



イイ男の一飛に負けないくらいあたしもイイ女になるから。


一飛もずっとあたしだけを見ていてね。



野球が出会わせてくれた、この恋は、あたしの運命の恋。


これ以上の恋はないし、一飛以上に好きになれる男なんていないと思った。




でも、この時すでにあたし達の歩みは、ずれ始めていたんだ。