関田くんとは、
奇しくも席が隣同士だった。

うちのクラスは、
男女で席が隣同士、
机をピッタリくっつける。




翌朝。


何時ものように登校し、
何時ものようにクラスに入る。



異変にはすぐに気が付いた。



関田くんと、
わたしの机が、
30cm以上離されていた。



関田くんは自分の席に普通に座り、
後ろの席の男子と、
何事もなかった様子で話している。


「おはよう」


一応挨拶してみるが、
聞こえていない振りで、
無視される。


わたしは少し怖くなりながらも、
何時ものように、
ランドセルから教科書を出して、
机の引き出しにしまい、
空になったランドセルを、
ロッカーに置きに行った。



昨日まで普通だったのに。


(どうして…?)

(…なんで?)

(わたし、何か悪いこと…した?)


挨拶だって普通にしてた。
席が隣同士だから、
どちらかが教科書を忘れたりしたら、
二人で見せ合いをしてた。

授業中、
隣同士でペアになることだって、
何度もあった。

給食のときは、
後ろ二列の子達と、
輪になるように机を並べ替えて、
楽しく笑いながら食べていたのに。




きっと何かの勘違いだ。

もしかしたら、わたしを笑わそうとふざけているだけかもしれない。

そんな風に思い込みたかったのに。





これは、地獄の始まりだった。