彼女の思い通りにぶらぶら。

今頃、道重はオレの仕事を肩代わりしてくれてるんだろうな…。

「秀介くん、大丈夫?」

「…ん?」

「仕事、大丈夫なのかなって」

やっぱ、鋭い。

顔に出てたかな…?

「ほんっと仕事好きだよね」

「好きじゃねーし!」

あわてて否定した。

紗英のことは好きだけど、仕事のことも大事だし…

“私と仕事どっちが大事なの!?”なんて、今までの元カノに言われ続けてきたことを、また繰り返すかもしれない。

「素直じゃないよねー」

真顔で言われる。

うーわー…

怒ってる?

「今日は道重に仕事任せて来たから大丈夫。次、どこ行く?」

手を引いて歩こうとする。

と、避けられる。

…なんかショックだ。

でも、まだ人に触れられることに恐怖感があるのかも。

仕方なく、左手は手持無沙汰のまま、ポケットに突っ込んだ。

「先生のこと、待ってるのは私だけじゃないから…仕方ないよ」

「先生って言うなよ」

「なんでー」

「罪悪感というか…」

一応、医者と患者じゃなくなったけど、なんとなく?

禁断の愛?

教師と生徒じゃないからいっか…。