歳の差レンアイ、似た者同士。

「オレが死ぬって言ったら?」

おもむろにナイフを取り出す。

…へ!?!?

何やって……



止める間もなく、男はナイフの刃を自分の胸に突き立てた。



やりやがった…!!!



「救急車よんで!!」

呆然と立ちすくむ荻原紗英に向かって叫ぶ。

床に転がって唸る男。

無理矢理仰向けにさせる。

「おい、わかるか?」

「…ってぇ…っ」

よし、意識あるな。

「自分で刺したくせに痛がってんじゃねーぞ」

集まってきたファミレスの店員に、もう一度救急車を要請するように言う。

面倒なことになっちまったなぁ…。

「ハサミ持ってきてください、服切れるやつ」

「えっ!?あ、ハイっ…!!」

刺さってるところを見ると、心臓じゃないみたいだし。

大血管も避けてる。

助かったな、お前。

めちゃくちゃ残念だ。

…とか思ったオレ、悪魔?

「…痛ってぇー!!」

「バカ、動くんじゃねっ!」

たった今オレの患者になった男の頭を叩く。

「本当は死にたくないんだろ?」

「…はい…」