予想もしていなかった事が起きた

あの日から、1ヶ月くらい経ったとき。


啓と付き合うことにした。

もう忘れよう。

いつかは啓が好きになるかもしれない。


そんな考えは、甘かった。

気付くのが遅すぎたけど。


それからは毎週のように、

啓の家で遊んだ。

トランプしたり、

映画見たり、

ずっとおしゃべりしたり…

全然進展はなかったけど、

それなりに二人で過ごす時間は多かった。


だけど、卓也のことは忘れられなかった。

むしろ、毎日思い出していた。

卓也を忘れられない気持ちと、

啓を大切にしなければいけないという気持ち、

二つの間で彷徨っていたあたしは、

だんだんだんだん

疲れていった。


年が明けた2008年1月3日―

「もう無理やと思う…

本当にごめん。」

啓と別れる決心をした。

「いいよ」

啓はそう言って、許してくれた。

本当にごめんね。

あたしの勝手なわがままで、

また一人、傷つけた。