男は、少しきつい表情をしながら、小野寺誠と名乗った。

正和が自分のことを言おうとした時だった。

「わかっています。あなたのことは、彼女の元恋人ということも・・・・・・」
小野寺は、苛つく口調だった。

正和は、小野寺を自宅近くの公園に連れてゆく。
何か敦子のことで、自分に特別の話があることは察しはついていた。

公園の中は蒸し暑さを感じさせる。
蝉が鳴く木陰で、二組の子供連れの若い母親が会話を楽しんでいた。

小野寺は、着ているクリームイエローのサマースーツを脱いで、黒い半袖のポロシャツになった。

昨夜会った時は、あまりよく小野寺のことを見ていなかった。
小野寺は、目がパッチリとして鼻筋が通った美男子だった。
女性が好む顔立ちだろうなと、正和は素直に思った。