敦子は目を開いた。
目が少しぼんやりする。
目が覚めていない感覚だった。全体的に暗い雰囲気の中にいる。
低い天井が見えて、壁には柔らかな間接照明が、ほのかに光っている。

敦子の体にはブランケットが掛かってあって、黒い皮のソファに身をもたせかけていた。

敦子はブランケットを跳ね除けて、ゆっくりと起き上がる。すると、冷房が効いていて肌寒さを感じる。なんとなく体がけだるく頭痛で顔をしかめた。

敦子は頭を振って、目の前のカウンター席を見る。
カウンターの奥の棚には、いくつも洋酒が並んでいる。

昨夜、立ち寄った店で寝入ったことを、敦子は気付いた。
自分の腕時計を見ると、午後十二時を過ぎていた。
もう、そんな時間なのかと、敦子が驚いた時だった。

突然、店の扉が開いた。

店の外から、男性が入ってきた。