次の日の午後。正和は竹中の倉庫にいた。

「何だって、男が現れた!?」
竹中は驚いた様子で、正和に聞き返した。

今日は昼休みを利用して、バンドメンバーが集まる日だった。三日後にライブがある。そのための練習をする日だった。

「つまり、男が待ちぶせしていたってことか?」
竹中が身を乗り出して、正和に興味深く聞いた時だった。

扉が開いた。

「いらっしゃい」
美和が笑顔で入ってきた。

「どうぞ、召し上がって下さい」
美和は、切り分けたスイカを大皿にのせて、二人の座ったテーブルに置いた。

「ありがとう」
正和が美和に会釈する。

「ありがとうね」
竹中も気を使うように、美和に礼を言う。

「どうぞ、ごゆっくりして下さい」
美和は、いつものように愛想よく挨拶をして出てゆく。