敦子と静香が、二人きりになった。

栞が店を飛び出した後、小田が真紀子に近寄った。
「大丈夫? 」
小田が優しく言葉を述べると、真紀子も我に戻って、栞を探しに店を出た。その後に続くように小田も竹中も店を出た。敦子も探すのを手伝おうと思ったが、土地勘がないため、そのまま店に残った。

「ごめんなさいね。あなたにも迷惑かけちゃって・・・・・・」
座がしらけてしまったことに、静香はすまなそうに敦子に言う。

「いえ・・・・・・気にしないで下さい。でも、お孫さん心配ですね」
敦子が静香を気遣う。

「どうせ、その辺をウロウロして帰ってくるから、大丈夫なんだけど・・・・・・でも、どうして親子仲良くできないのかね・・・・・・」
静香は愚痴るように言った後、敦子のジョッキーを見る。

「お酒は飲めないんですか?」
静香が気を使うように聞く。

生ビールは、泡もなく気がぬけているようで、
「いえ、飲めないこともないんですが、今、飲むのをやめているんです」
敦子が遠慮がちに言う。

「そうですか。では、何か他のものは?  」
静香は別の飲み物を勧める。

「では、コーラを」
「はい」
静香が、グラスにコーラをグラスに入れてカウンターの上に置く。