「男だけど・・・・・・」
正和は言葉を濁して、それ以上は話さなかった。

「とてもいい奴なんだ」と一言だけ強調するように言っていたことを、敦子は思い出した。

今、小田を目の前にして、正和がくわしく言えなかったことが、わかったような気がした。

だが、敦子は、そのことを思い出すと、小田のことがいい人だと素直に感じた。

女性の敦子から見ても、初対面の小田には異性的な感じより同姓的な親しみがある。
正和が電話で言っていたのは間違いないような気がした。

敦子は、小田に案内されるまま後をついて行く。