「栞・・・・・・どうしたの? 」
静香は、どうして孫の栞が、正和と一緒にいるのか、不思議そうに尋ねた。
そして、栞が持っている旅行用バッグに目をやると、カウンターから出て来た。

「どこか行くつもり? 」
静香が、栞に近寄って尋ねた。

栞は、バツの悪い顔をしたまま黙ったままだった。

「山本さん、栞に何かあったんでしょう? 」
静香は、栞に何か異変があることが、わかったような言い方で、正和に聞いた。


「・・・・・・・」
正和は、ふさぎ込んだ様子の栞を見ると、静香に説教されることが想像出来て、どこか心苦しく思えた。だが、祖母である静香には、本当のことを言わなければいけない。