車まで無言で歩く省吾さん

聞きたい事は山ほどだけど、省吾さんの苛々が体から溢れていて
とても聞ける状況ではなかった


でも……………
私の前で麻衣さんにきっぱり言い放った言葉は省吾さんの本心だと
私の為にあえてあんな風に言ったんだと感じた


キスの事は気になるけれど、たとえどんな事実があったとしても
私の気持ちは一つ


今伝えなきゃ


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------「瞳?」


私は繋いだ手を離した


省吾さんは驚いて振り向き私を見る
不安な目をして………
口元は悲しそうに噛み締めて


決して不安にさせたかった訳では無いのに
私の気持ちを伝えたかったのに上手く言葉が見つからない

暫く見つめ合った後、私は両手を広げ
省吾さんに抱き着いた

戸惑いながら私を受け止める省吾さんにそっと
「大好きだよ」と囁いた