「え! な 何んで?
記憶って……事故の記憶?
それとも 全部?」



智也さんは泣きそうな顔をしながら


「ほとんど全部だよ
俺の事も……田崎さんの事もわからないんだ」


―――そんな!


「じゃあ 私の事も………」


田崎さんはゆっくりと頷いた


「嘘っ! 嫌だ………
そんな事っ! ね、田崎さん 直ぐに記憶戻るよね?



――――――――

――――――



「どうする?瞳ちゃん
省吾に会っていく?さっきも話した通り省吾の反応に傷つくんじゃないかって

俺その事ばかりが気になって仕方が無いんだ」



「でも 会わないで帰る事なんてできないです」



「わかった なら病室に向かおう」



私は田崎さんの背中を見ながら必死で気丈に振る舞った


病室の前に来た時軽く深呼吸をした


智也さんは


「大丈夫か?後から入るか?」


って聞いてくれたけれど、私は一緒に部屋に入る事にした