「さーとっとと帰んべ。」 そんなことを言う薫を先頭に、クロちゃんをへばりつかせたまま後に続いて歩き出した。 「クロちゃん・・・ちょっと歩きづらいんだけども・・・」 そう言った矢先、肩に乗っていた顎がちょっと動いて、頬に柔らかな感触。 あ・・・今、きゅんとした。 慌てるよりも、『ああ、クロちゃんだ』って実感が、 何だか嬉しかった。