『ホラ。美味しいよ?』


そのどこまでも邪気のない笑顔に唆されて、ついうっかり食いついていた。



チョコレートはヘンな薬物の味もしなくて、異物が混ざってる事もなく、フツーに美味かった。



『よっぽどお腹減ってんだね・・・』



黙々とチョコを食う俺を眺めていたオンナは徐に自転車に戻ってレジ袋を持って来た。



『コレ上げるからちゃんと寝床に帰るんだよ?寂しくても頑張るんだヨ?』


俺の頭を野良猫にやるようにガシガシ撫でて、颯爽と自転車に乗って消えた。





・・・って




・・・・・・はぁ!?




アイツ、俺のコトをネコかなんかと勘違いしちゃいねぇか!?





つか、俺も何、フツーに撫でさせてんだ。






人に触れられるのはキライだ。



別にトラウマなんかねぇけど、気が付いたら苦手になっていた。



だけど。




アイツに撫でられてもあんま嫌悪感なかった。




何でだろ。