黒猫クンはニンゲンの也をしているけれども、対峙してみてもやっぱりネコ的な雰囲気。


私に気付いてあからさまに不審を滲ませた。

警戒心の強いトコロも野良猫なカンジ。




ぐーっ。

膠着状態に間抜けな音があがった。

どうやら野良猫クンのお腹の音らしい。


気難しい野良猫クンを手懐けるとっておきの方法を思いついた私はウキウキしながらポケットを漁った。


「これ上げる。」

オヤツにポケットに忍ばせておいたチョコレート。


封の開いた箱ごと差し出すけれど、野良クンは不信感を更に募らせたようだった。


うむー。このノラちゃんは中々手ごわいね。


私は懲りずに、チョコレートを摘んで鼻先へ持って行った。


「ほら。美味しいよ?」


すると野良クンは釣られたようにぱくっと食いついた。



やたっ♪

野良猫が私の手からエサを取ったー。

感激ー♪


なんだかんだと、あっという間に残りのチョコレートも平らげた野良猫クン。



「相当お腹減ってたんだね・・・」


私は、自転車へ取って返って、篭からレジ袋を持って来た。


バイトで貰った賄いだけど。

お腹をすかせた野良猫クンをほっとけないよね。




本当はみだりにエサなんか上げちゃいけないんだろうけど。

でも、ヒモジイって辛いことだもん。



「コレ上げるからちゃんと寝床に帰るんだよ?寂しくても頑張るんだよ?」




賄いを押し付けた私は野良クンの頭をワシャワシャ撫でて、ご機嫌で自転車を漕いで帰っ
た。