俺の思ったことどんだけ通じたかは不明だが、何割かは通じたみたいだ。

俺を見返す目に険しさが増す。



「思い上がんなよ、小僧。」



低く呟いて、俺の頬に拳を叩きこんだ。



歓声があがる店内。

食器やテーブルが倒れる音。



「ヤメロ、二人ともっ!エンちゃんっ・・・クロッ!!」



何度か拳を食らって、頭がくらくらする。

すっげー、重いパンチ。

でも俺も負けてナイ。

ほぼ互角。


だけど、
天は俺に見方したらしーな。



転がったグラスを踏みつけてエンジが体勢を崩す。



昔、烈が俺の喧嘩を見て『冷徹』だと言ってたのを思い出す。

隙を見過たず、急所を一撃にして仕留めるのに、なんの戸惑いも見せないから。


勝つ事だけを目的にした喧嘩。





だけど拳を振り上げた今の俺は違った。








俺、コイツ、キライだ。






キライなヤツを打ちのめせる瞬間に、俺は確かに愉悦を感じた。