「か、・・・・かおる・・・薫―っ!」


万里ちゃんが悲鳴みたいに叫んで走り出す。



私は動けなかった。




胸が苦しいのはクロちゃんが一杯ケガしちゃってるから?


それとも、会えてほっとしたから?






隣の男の子の肩に乗っていたクロちゃんの腕がするっと落ちた。



・・・倒れちゃうっ。


反射的に駆けだした私に向かってクロちゃんの手が真っすぐ伸びてくる。

倒れてくるクロちゃんを支えきれず、二人してその場に崩れた。




どうしよう。


オカエリって笑ってあげられないや。


何でかな・・・


涙が止まらないよ。




だけどクロちゃんが

『タダイマ』

って。



意識も朦朧としてるくせに、そう言ってくれるから。



私は笑顔の代わりにぎゅうぎゅう抱きしめてオカエリって何度も言った。



オカエリ、クロちゃん。

帰ってきてくれてヨカッタ。

一杯ケガしちゃったけど、でもちゃんと帰ってきてくれたから。





アリガトウ。