自分のために甚平をつくってくれた。そう考えると嬉しくてたまらない気持ちが彼の心に溢れていた。
彼は、今までに女性から何千という程のプレゼントを貰ってきたが、嬉しいと感じたことは一度もなかったが、少女からの贈り物は素直に喜んでいた。

「明日の十時に、一階の玄関の前にいてくれ。」

「え…?十時って、ちょっと早くない…??」

「俺も君にお礼がしたい。例えば………浴衣とかはどうだ…?」

「え?浴衣って…。」

「明日、花火大会で着る浴衣。」

彼は、朗らかに微笑んだ。